22. ”こんにゃくづくりに挑戦”

       〜 失敗の繰り返し、そして見事成功! 〜

あなたは人目のお客さんです

◆ 友人から見事なこんにゃく芋玉の贈り物

  
1ケ6kもある見事なこんやく玉
 
1ケ6kもある見事なこんやく芋

 私と同様、仕事の合間に野菜づくりを楽しみにしている昔からの親友がいる。その彼から、今年の秋収穫した見事なできばえのこんにゃく芋玉を2ケ頂戴した。彼は以前から自分の畑でこんにゃく芋づくりに精を出していた。その彼が一年前の秋、私にも作ってみないかと小ぶりな苗玉を何個かくれ、春に自分の畑に植え付けを済ませてきたのだった。この秋収穫してみたものの、丹精込めて育ったつもりながら一年では成長した物にはならなかった。いかんせん、こんにゃく玉は3〜4年の丹精が必要だということがやっと分かった次第。  見かねた彼が、こんにゃくづくりの出来る成長した芋玉が沢山とれているからとこんな見事なこんにゃく玉を届けてくれたのだった。  もらったからには一度はつくって見なければ…………と決意した次第である。

◆ 早速こんにゃくづくりの準備

 この年になるまで大きなこんにゃくの玉を目の前にしたのは初めて。まして作り方などまったく知るよしもなかった。まずは、インターネットで知識をかき集めてみた。あることあること、世の中にはこんにゃく作りのフアン大勢あることを知った。  材料の芋玉と凝固材の炭酸ソーダー(炭酸ナトリウム)、それに器具としてミキサーがあれば十分との説明で、11月末の休日の一日早速準備にとりかかった。説明の中で今一理解がいかなかったのが、炭酸ソーダー(炭酸ナトリウム)のこと。薬局では見つからず、結局近くのスーパーにあった重曹(包装箱には重炭酸ナトリウムと記載があった)を買い求め準備を整いた。初めての試作であり材料はこんにゃく芋1sとすることとした。

◆ 茹で上がり、ミキサー作業上々のできばえ

 こんにゃく芋をよく洗って、厚さ3aほどに切って、たっぷりのお湯の中で30分ほどゆがいた。箸がスーッととおることを確かめ火をとめ、芋を取り出して皮を剥く。少しヌルヌルして剥きずらかった。芋1s対してぬる湯3gで何回かに分けてミキサーにかける。1分半もかけていると粘りが出てきてミキサーが回転に難渋するほど。少し固めながら白っぽいどろっとした感じ。こんにゃくが固まる前のいい感じだ。

 

かき混ぜるほどに粘り気を帯び期待が持てそう

  ◆ 第一回の挑戦、マニュアルどおりが、見事失敗!

  大きな鍋に移して、ごはんシャモジで念入りにかき混ぜるとこってりとした粘りが出てきてますます期待が高まってきた。マニュアルにしたがって、ぬる湯で凝固材とした重曹を溶いて慎重にかき混ぜながら注ぎさらに攪拌した。攪拌すると粘りのあったのが、粘りがなくなって次々とちぎれてしまった。何か誠に頼りなくなったがこれはマニュアルどおりであり心配にはおよぶまい。いずれは固まるに違いない。固まることを信じて二つのバットに広げ、手でたたきながら空気を抜くようにして平らに盛って冷えをまつこととした。  ところが、一時間以上経過し冷えたにもかかわらずバットのこんにゃくは一向に固まる様子が見えない。次ぎの行程である、適当な大きさにカットし、しっかり湯がくことになっているのに、カットしようにも切り離しが出来ない状態なのだ。無理に鍋の湯に入れて加熱しているうちに見る見るどろどろとなって解け切ってしまった。  大きな二つの鍋たっぷりの量をすっかり処分せざるを得なかった。結局第一回の挑戦は、完全な失敗に終わってしまった。


固まらず失敗となったバットに流し込んだこんにゃく

◆ 再挑戦、海苔入りの風変わりこんにゃく目指す

 つらつら考えるに、失敗の原因はどうも凝固材に重曹を使用したところにあったようだ。先の味噌づくりの先生のアドバイスを受けたところ、凝固材は市販されている炭酸ソーダーが正しかったことを教えられた。失敗したどろどろとなったこんにゃくも、捨てることなく再度炭酸ソーダーを使えば再製できたのにと残念がられ実に惜しい ことをしたものと思った。この時、海苔を入れてつくると青みと海苔の風味の変わったこんにゃくが出来ることを教わった。  一週間後、1sの材料に海苔入りで挑戦してみることとした。前回同様の手順どおり行程を進め、ミキサー作業の際、2枚の海苔を一緒に混入させてみた。薄みどり色となって一風変わった色合いでいい感じとなった。この後が前回間違った凝固材の混入作業だ。分量の炭酸ソーダーを入れ慎重に攪拌した。いっときはバラバラにちぎれたがすぐに固まってきた。今度はうまくいきそうだ。すかさず二つのバットに分け、手でたたいて平らに仕上げた。後は冷ましてゆがくだけとなった。

◆ 手作りこんにゃく完成、さしみこんにゃくで乾杯!

冷めたバットのこんにゃくを適当な大きさに切って大きななべでしっかりゆがいた。始めは堅さが無かったのが火が芯にとおるにしたがってだんだん固めを帯びてきた。今度は大丈夫。ゆがくうちに堅さが増し市販品より立派になってきた。完成だ。今晩はさしみにして乾杯だ。1sで16ケの完成品が生まれた。
 晩酌の肴にさしみこんにゃくにして味わった。苦労してできあがっただけにうまみは何倍ともなり酒が進んでしまった。親友にはほんの一切れお相伴にと手元に届け笑味を願ってお礼とした。


熱湯でゆがいている完成間じかのこんにゃく

色もグリーンによくできあがった

     なんとか完成した手作りこんやく

色もグリーンによくできた


 ”男子厨房に入らず”とは言われてきた。いままで台所に立った経験は晩酌の燗徳利をさわる程度のもの。初めての厨房が手づくりこんにゃくの完成。還暦・定年後の人生にまた一つの充実した生きがいの経験が重なった。

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